
【読むゲーム】「BEYOND: Two Souls」の物語解説【ネタバレ有】
「BEYOND: Two Souls」は、Quantic Dreamが開発し、2013年にリリースされたアクション・アドベンチャーゲームです。
この作品では、ジョディ・ホームズ(Jodie Holmes)という主人公が、彼女に取り憑いている霊的存在「エイデン(Aiden)」と共に、数十年にわたる壮絶な人生を生き抜いていく物語が描かれます。
エレン・ペイジ(Elliot Page)とウィレム・デフォーの演技が、感動的なストーリーテリングを支えており、プレイヤーはジョディの成長と苦悩に深く感情移入することができます。
本記事では、「BEYOND: Two Souls」のストーリーを時系列に沿って詳しく解説します。
プレイヤーが選択できる行動による分岐や、エンディングに関わる重要な選択肢も解説します。
※以下、ネタバレが多数含まれますので、未プレイの方はご注意ください。
1. 幼少期とDPAでの生活

1.生い立ちとエイデンとの関係
ジョディ・ホームズは、霊的存在であるエイデンと共に生まれた少女です。エイデンは、ジョディの双子の兄の霊であり、生まれる前に命を落としたことでジョディに取り憑いています。
ジョディが幼少期から普通の子供たちと違ったのは、このエイデンの存在によるものでした。
彼は彼女を守るために、周囲の物体を動かしたり、他者に危害を加えることができる能力を持っています。
2.DPAへの引き取りと研究生活
幼い頃、ジョディの両親は彼女の異常な能力に恐怖を感じ、彼女を超常現象を研究するDPA(Department of Paranormal Activity)に預けることを決意します。DPAでは、研究者であるネイサン・ドーキンス博士とその同僚コール・フリーマンがジョディを引き取り、彼女のエイデンの能力を研究することになります。
ネイサン博士はジョディにとって父親的な存在となり、彼女の能力を理解しようとします。
しかし、ジョディはDPAの施設内で孤独な生活を送らざるを得ず、普通の子供のような生活を送ることができませんでした。
ジョディはエイデンの存在により、他人との関わりに困難を抱え、孤立感と恐怖を抱きながら成長していきます。
3.ネイサン博士の悲劇とジョディへの執着
ネイサン博士自身も大きな悲しみを抱えています。彼は妻と娘を交通事故で失い、その喪失感から立ち直れないでいました。
彼はジョディとエイデンの力を使って、霊界(インフラワールド)と呼ばれる異世界との接触を試みます。
ジョディの能力が霊界と現実世界を繋ぐ鍵であると考え、彼の研究は次第にエイデンの存在を超えて、霊界そのものへの探求へと向かいます。
2. ジョディの青春とエージェント時代

1.CIAへのスカウトと過酷な訓練
ジョディが青年期になると、彼女の能力に目をつけたCIAが接触してきます。ジョディはDPAを離れ、CIAのエージェントとして訓練を受けることになります。
エイデンの力を駆使し、彼女は戦闘技術やスパイ活動を学び、数々のミッションに参加するようになります。
ジョディにとってCIAでの生活は新たなスタートでもありましたが、彼女は自由を求める心と組織に従う立場の間で葛藤を抱えることになります。
2.CIAの任務と裏切り
ジョディがエージェントとして最初に経験したミッションは、エイデンの能力を使って情報を収集し、敵対者を排除するというものでした。
しかし、あるミッションで彼女は、自分が命じられた暗殺のターゲットが無実の民間人であることを知ってしまいます。
このことにより、CIAの手法に疑問を抱いたジョディは、組織から離れる決意をします。
CIAからの脱退を試みるジョディは、エイデンの力を使って逃亡を図りますが、CIAの追跡から逃れるのは困難を極めます。
逃亡中、彼女はエイデンの力を駆使しながら、身を隠しつつ、自分の運命を切り開いていきます。
3. 逃亡者としての生活と出会い

1.放浪とホームレス生活

CIAを離れたジョディは、アメリカ中を放浪する生活に入ります。
彼女はエイデンと共に、社会の片隅で生きる人々と出会い、共に厳しい生活を送ります。
特に印象的なエピソードは、ホームレスのコミュニティでの生活です。
ジョディは、そこでサムという優しい男性や妊婦のゾーイと出会い、彼らと心を通わせます。
この時期、ジョディはエイデンの力を利用してコミュニティのメンバーを助けることもあり、彼女の力が他者を守るためにも使えることを再認識します。
しかし、彼女が関わることで周囲が危険に晒されることもあり、エイデンの存在が彼女にとって二重の刃であることを改めて感じる場面でもあります。
2.自己の存在意義を求めて
ジョディは、自分とエイデンがなぜこのような運命を背負うのか、その理由を探し始めます。DPAやCIAの関与を超えて、自らの存在の秘密や、エイデンが何者であるのかを知りたいと考えるようになります。
この旅はジョディにとって自己発見の旅でもあり、彼女がアイデンとどのように向き合うかが大きなテーマとなっていきます。
4. 霊界(インフラワールド)との対決

1.インフラワールドへの関心とネイサンの暴走
ジョディが逃亡生活を続ける中、DPAではネイサン博士が霊界との接触を深める研究を進めています。彼は死者の霊とコミュニケーションを取ることに執着し、ジョディの能力を利用しようと画策します。
ジョディはネイサンの企てを知り、彼を止めるために再びDPAの施設へと戻ることを決意します。
ジョディとエイデンは、ネイサン博士が作り出した霊界への扉を閉じるために、施設内で奮闘します。
ネイサンは死者の世界で妻と娘と再会することを望んでおり、そのために霊界の扉を開こうとしていますが、ジョディは彼に対して現実に戻るよう説得を試みます。
しかし、ネイサンは自らの望みに取り憑かれており、最終的にジョディと対立することになります。
2.霊界との戦いとエイデンの真実
霊界との戦いは、ジョディとエイデンにとって最後の試練となります。
エイデンの正体がジョディの双子の兄であることが明かされ、彼が彼女に取り憑いていた理由や、二人の繋がりの深さが理解されます。
ジョディは、エイデンと共に霊界の扉を閉じ、現実世界に戻る選択をするか、霊界での存在を受け入れるかという重大な選択を迫られます。
5. エンディングとその意味

1.ジョディの選択とその結末

「BEYOND: Two Souls」では、エンディングがプレイヤーの選択によって分岐します。
ジョディがエイデンと別れ、現実世界で新たな人生を始めるエンディングでは、彼女は普通の生活を取り戻すことを目指しますが、エイデンの存在を常に感じ続けます。
エイデンが彼女を守っていたこと、彼の愛情を感じながらも、ジョディは彼のいない世界で生きていく決意をします。
一方で、ジョディが霊界に残ることを選ぶエンディングもあります。
この場合、彼女はエイデンのような霊的存在となり、霊界と現実の狭間で永遠に存在し続けることになります。
2.エイデンとの関係の解放と再生
ジョディがエイデンと向き合い、彼の存在を受け入れることで、彼女は霊的な繋がりを超えて、自らの意志で生きる道を見つけることができます。物語の最後に彼女が選ぶ道は、プレイヤーがジョディと共に過ごしてきた時間と選択に基づいています。
6. ジョディとエイデンの関係の深層

1.ジョディの孤独とエイデンの存在
ジョディにとってエイデンは、孤独の象徴でありながら、彼女を支える存在でもあります。彼女は幼い頃から他人との交流が難しく、友達もほとんどいない生活を送ってきました。
エイデンの力を使って日常生活を送るうちに、彼女は普通の子供たちが体験するような友情や愛情を得られず、自分が特別であるがゆえの苦しみを抱えます。
この孤独感が、彼女の人格形成に深く影響を与え、DPAでの生活やCIAでの訓練においても、彼女が自己のアイデンティティと向き合うきっかけとなっています。
エイデンはジョディのそばにいることで彼女を守りますが、その守り方が時に過剰であることも問題となります。
例えば、ジョディが思春期に恋愛や友情を経験しようとする際、エイデンはそれを邪魔するかのような行動を取ります。
これはエイデンのジョディに対する強い執着を表しており、双子としての結びつきが愛情と束縛の両面を持っていることを示唆しています。
2.エイデンの行動とジョディの成長
ジョディがエイデンとどのように向き合うかが、彼女の成長の鍵となります。最初はエイデンの力を恐れ、彼の存在を呪いだと感じていたジョディですが、物語が進むにつれ、彼の力を制御し、エイデンをパートナーとして受け入れていくようになります。
この変化は、彼女自身が自らの能力と共存し、エイデンの存在をただの「呪い」ではなく「力」として受け入れるようになる成長を象徴しています。
ジョディが成長していく過程で、彼女はエイデンに対しても自立を求めるようになります。
これは彼女が他者とのつながりを求め、社会的な存在として自分の道を歩もうとする意志を示しているのです。
しかし、エイデンは常に彼女の近くにいる存在であり、ジョディがいくら彼から離れ
7. 語のテーマ:存在意義と自己の探求

1.霊界と現実の境界を巡る問い
「BEYOND: Two Souls」の物語において、霊界(インフラワールド)は単なる異世界ではなく、ジョディやネイサンが抱える「死」や「存在の意味」といった哲学的な問いに直接関係しています。ジョディはエイデンと霊界の存在を感じることで、常に生と死の狭間にいるような感覚を持っています。
彼女にとって霊界は、家族を含む人間関係を喪失した後に生まれる孤独感の象徴でもあります。
霊界はまた、ネイサン博士にとっても重要なテーマです。
彼は亡くした妻と娘に対する喪失感を埋めるため、霊界と接触し、彼女たちと再会することを夢見ます。
しかし、霊界との接触は単に慰めを与えるものではなく、彼をさらに深い執着と狂気へと導きます。
これは霊界が持つ「死後の世界」としての側面が、現実世界に生きる者たちに与える影響を描いています。
ジョディが霊界と対峙することで彼女が直面するのは、死後の世界に対する恐怖と、自分がこの世界に存在する理由です。
彼女はエイデンとともに霊界の扉を閉じるという選択をすることで、自分の運命を決める立場に立つのです。
2.自由意志と選択のテーマ
「BEYOND: Two Souls」では、ジョディの選択が物語を左右するだけでなく、彼女自身の自由意志の問題が大きく取り上げられています。ジョディは幼少期から大人になるまで、エイデンに縛られ、DPAやCIAといった組織に利用されてきました。
しかし、物語の後半では彼女はこれらの制約から自らを解き放とうとし、自由を求めて行動を起こします。
自由意志とは何か、自らの意思で人生を切り開くことの意味とは何かという問いが、ジョディがエイデンと向き合い、運命に立ち向かう過程を通じて描かれます。
ジョディの選択には、彼女の内なる葛藤や他者への愛情、そしてエイデンとの複雑な関係が反映されています。
8. プレイヤーの選択がもたらす多様なエンディング

1.プレイヤーの役割と物語の結末
「BEYOND: Two Souls」の物語は、プレイヤーの選択によってエンディングが大きく変わる点が特徴です。ジョディの行動や他者への対応、エイデンの力をどう使うかなど、プレイヤーが選んだ選択が、ジョディの人間関係や物語の展開に直結します。
例えば、エイデンをどれだけ制御するかによって、彼女が他人と良好な関係を築けるか、または孤独に生きるかが変わります。
さらに、エイデンを使って敵を倒すか、平和的に解決を図るかといった選択も、ジョディの性格や心情を反映するものとなり、最終的な結末に影響を与えます。
プレイヤーはジョディを操作するだけでなく、彼女の生き方そのものを決める立場にあり、その選択がエンディングで彼女にどのような未来をもたらすのかを見届けることになります。
この選択肢の重みが、プレイヤー自身に「もし自分だったらどうするだろうか?」と考えさせるような深い問いかけを生み出しています。