
『ポケットモンスター ピカチュウ版』相棒はピカチュウ!可愛い相棒と冒険チュウ!
『ポケットモンスター ピカチュウ版』(以下、ピカチュウ版) は、1998年に日本で発売されたポケモンシリーズの特別版です。
『ポケットモンスター 赤・緑』を基にしつつ、大ヒットしたアニメシリーズ「ポケットモンスター」にインスパイアされた内容が盛り込まれています。
プレイヤーは、主人公のパートナーとして、アニメの主人公サトシと同じくピカチュウを冒険の仲間に迎えます。
ピカチュウが主人公の後ろをついて歩くという独自の要素や、アニメに登場するキャラクターたちとの交流が可能な点で、原作とは一味違った魅力を持つ作品です。
この記事では、『ピカチュウ版』の概要、特徴、ストーリー、ゲームシステム、そしてポケモンシリーズ全体への影響について詳しく解説します。
1. 『ポケットモンスター ピカチュウ版』とは

『ピカチュウ版』は、1996年に発売された『ポケットモンスター 赤・緑』と同じカントー地方を舞台にした作品です。
ただし、本作はアニメ版を基にした演出やストーリーが加えられており、オリジナル版とは異なる体験を楽しむことができます。
本作は、ゲームボーイ用ソフトとしてリリースされましたが、のちにニンテンドー3DSのバーチャルコンソールでも配信され、多くのプレイヤーに愛され続けています。
ピカチュウ版の発売当時、ポケモンブームは日本国内だけでなく、海外でも急速に拡大しており、本作はその人気を決定づけたタイトルの一つとなりました。
2. ピカチュウってどんなポケモン?

『ポケットモンスター』シリーズに登場するモンスター(ポケモン)のキャラクター。
第1世代『赤・緑』から登場し、本記事で解説しているピカチュウ版ではパートナーポケモンを務めています。
ゲーム自体やったことがない人でも、一つのキャラクターとして老若男女問わず知っているであろう最も有名なポケモンであり、その存在はもはやポケモンの看板そのものであり、なくてはならない存在です。
綴りは異なるものの、なんと発音は世界共通の「ピカチュウ」。
鳴き声も名探偵ピカチュウやアニメでの複数個体、外伝アニメなどの一部例外を除き、大谷育江氏でほぼ世界共通。
デザインを担当したのは、にしだあつこ氏。
各ポケモンセンターのマスコットキャラクターを務める他、何かしらのポケモングッズを展開する場合真っ先にピカチュウがラインナップに入り、「Pokemon The MOVIEシリーズ」の製作委員会の名前が「ピカチュウプロジェクト」であることからも分かるように、実質的な「ポケットモンスター(ポケモン/Pokémon)」の代名詞的存在といえるでしょう。
1990年代後半には公立小学校にピカチュウのつなぎを着て来て先生に怒られた児童もいたほどだそうで、このことからも圧倒的な人気が窺えます。
また、同じく小学校の朝のレクリエーションでピカチュウが題材にされるなど、当時の教員からも「迷ったらコレ!」というべき題材として認知されていたそうです。
第5世代「ブラック・ホワイト」の舞台となるイッシュ地方でのみ、ピカチュウが野生で生息しないという設定(通信交換での入手は可能)が試みられましたが、やはりプレイヤーからはとても不評であった様で、以降の作品舞台では必ずピカチュウ系統が生息する設定となっており、その点からもピカチュウがなくてはならない存在であることを大きく証明しているといえます。
2009年度に集計が行われた「好きなポケモンランキング」ではダントツの1位、2016年6月7日に結果発表された「ポケモン総選挙720」では4位。
2020年2月の人気投票『ポケモン・オブ・ザ・イヤー』では19位となっているが、層の違いやポケモンの総数を考えれば十分高い部類と言えるでしょう。
3. 特徴とゲームシステム

『ピカチュウ版』は、基本的なゲームシステムは『赤・緑』と共通していますが、いくつかの新要素が追加され、オリジナル版とは異なるプレイ体験が提供されました。
本作最大の特徴は、冒険のスタート時にパートナーポケモンとしてピカチュウが与えられる点です。
ピカチュウは、アニメ版のサトシの相棒として広く知られており、プレイヤーにとっても特別な存在です。
ピカチュウは、ボールに入ることを嫌がり、プレイヤーの後ろをついて歩く仕様になっています。
また、ピカチュウに話しかけることで、彼の感情を確認することができます。
これは、ポケモンが「感情を持つ仲間」として描かれるシリーズの方向性を強調する重要な要素でした。
1.アニメキャラクターの登場
アニメ版に登場するキャラクターたちが本作にも登場し、ゲームの世界観をより魅力的なものにしています。
たとえば、悪役として知られるロケット団のムサシとコジロウが登場し、物語を盛り上げます。
彼らは、「ニャース」を連れており、プレイヤーと何度も対決します。
このように、アニメファンにとって親しみやすいキャラクターとの交流が、本作の大きな魅力となっています。
2.グラフィックと演出の強化
『ピカチュウ版』では、グラフィックやポケモンのドット絵が一部改良され、オリジナル版よりも洗練された見た目になっています。
また、ピカチュウの専用ボイスとして「ピカピカ」と鳴く声がゲーム内で再現されており、当時としては画期的な演出でした。
3.ストーリーとゲームの流れ
本作の基本的なストーリーは、『赤・緑』と同様に、プレイヤーがポケモントレーナーとして成長し、ポケモン図鑑を完成させながら、ポケモンリーグでの優勝を目指すというものです。
ただし、アニメ版を意識した演出やキャラクターが追加されているため、オリジナル版とは異なる体験を提供します。
4.オーキド博士とピカチュウ
冒険は、プレイヤーがオーキド博士からピカチュウを受け取るところから始まります。
このピカチュウは特別な存在であり、プレイヤーとの絆が物語全体を通じて描かれます。
また、ライバルであるグリーンも健在で、彼はプレイヤーの冒険に何度も立ちはだかります。
彼が最初に選ぶポケモンが、ピカチュウに対抗する「イーブイ」である点も、本作独自の要素です。
5.ロケット団との対決
プレイヤーは冒険を進める中で、ロケット団のムサシとコジロウと何度も対決します。
彼らは、カントー地方各地で悪事を働いており、プレイヤーがその計画を阻止することが重要なストーリーの一部となります。
ムサシとコジロウの登場シーンでは、アニメでおなじみのセリフ「なんだかんだと聞かれたら!」が再現されており、アニメファンにとって懐かしさを感じる要素となっています。
6.ポケモンリーグとエンディング
プレイヤーは、各地のジムリーダーを倒してバッジを集め、最終的にはポケモンリーグでチャンピオンを目指します。
エンディングでは、ピカチュウとの絆や冒険の成果が強調され、感動的なフィナーレを迎えることができます。
4. 『ピカチュウ版』独自の魅力

ピカチュウ版の魅力はアニメで主人公のサトシが3匹とも仲間にしたことに倣って旅の途中でフシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメの三匹も手に入れることが出来るところです。
他にも、野生ポケモンも大幅に変更がなされ、例えばアニメ通りにトキワの森にピジョンが出てきたり、前3作では野生出現がなかったカモネギが野生出現を果たしたりなどがあります。
登場するトレーナーもアニメ版の設定が取り入れられており手持ちや技構成が変更され、タケシとカスミの服装がアニメ版に近いものになっていたり、マチスのてもちがライチュウ1匹になっていたり、サカキがガルーラの代わりにペルシアンを使用したり(赤緑青のガルーラとは異なり、ペルシアンはジム戦にも登場します)。
一部、一般トレーナーの手持ちポケモンであっても、わざマシン技を使ってくるようにもなりました。
AIも強化されており、オリジナル版の赤緑青より攻略難易度が上がっています。
特にジムリーダーや四天王は手持ちのレベルが底上げされているので、手持ちのレベル上げを頑張りましょう。
1.ピカチュウとの絆
ピカチュウの感情システムは、単なる演出にとどまらず、プレイヤーがピカチュウとの絆を深める楽しみを提供しました。ピカチュウが嬉しそうに笑ったり、時には拗ねたりする様子は、プレイヤーに感情移入を促す要素となっています。
ちなみにその機嫌はバトルの勝敗、更に場所によって変化します。
声はこちらもアニメ版の声優と同じ大谷育江氏だと思っていたのですが、記事を書くにあたってピカチュウ版について調べた所、なんと増田順一氏が波形を読み取りゲームボーイ内で再現させたものだったそう。
携帯電話等、似たような仕組みのもの自体は存在しますが、ゲームボーイの性能を最大限に活かした、今から見てもとんでもない技術でびっくりです。
2.通信対戦と交換
ゲームボーイリンクケーブルを使った通信対戦や交換は、オリジナル版と同様に本作でも健在です。これにより、プレイヤーは友人と対戦したり、ポケモンを交換して図鑑を完成させることができます。
5. シリーズへの影響と評価

『ピカチュウ版』は、ポケモンシリーズにおける特別な立ち位置を持つ作品です。
特に、アニメ版とのリンクや、ピカチュウを中心とした演出は、ゲームとアニメの相乗効果を高め、ポケモン人気をさらに拡大させました。
本作の成功は、シリーズのキャラクター性を強調する方向性を決定づける要因となり、後のシリーズ作品にも大きな影響を与えました。
また、ピカチュウが後ろをついて歩くシステム「連れ歩き」は、後の『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』などの作品にも引き継がれています。
6. 終わりに

『ポケットモンスター ピカチュウ版』 は、アニメ版とゲーム版の魅力を融合させた特別なタイトルです。
ピカチュウをパートナーに冒険するという体験は、多くのプレイヤーにとって新鮮で感動的なものでした。
本作は、ポケモンシリーズの人気を確立し、世界的なポケモンブームを後押しした重要な作品として、今なお多くのファンに愛されています。