
シリーズの原点回帰:「BIOHAZARD Revelations」物語を紐解く
『BIOHAZARD Revelations』は、サバイバルホラーの原点回帰を目指したシリーズ作品です。
2000年代後半、シリーズはアクションゲームとして進化を遂げる一方で、初期作に見られた「探索」「恐怖」「謎解き」の要素が希薄になったとの声も多く聞かれました。
本作はそのような声に応える形で登場し、狭い空間での緊張感あるゲームプレイや、断片的な視点を通して語られる謎めいたストーリーを特徴としています。
本記事では、『BIOHAZARD Revelations』のストーリー、キャラクター、舞台設定を詳細に解説するとともに、その影響やシリーズ全体との関連性についても掘り下げます。
1. 『BIOHAZARD Revelations』とは?

『BIOHAZARD Revelations』は、2012年にニンテンドー3DS向けに初めて発売されました。
当時の3DSはコンソールゲームほどの性能はないものの、立体的なグラフィックとコンパクトなゲーム体験を実現するデバイスとして人気がありました。
本作はそのプラットフォームの性能を最大限に活かし、細部まで作り込まれた恐怖の舞台を提供しています。
その後、HDリマスター版がPlayStation、Xbox、PCなどのプラットフォームに移植され、幅広いプレイヤー層に楽しまれるようになりました。
本作のテーマは「原点回帰」であり、従来のシリーズ作品に見られた「狭い空間での探索」「弾薬やアイテムの管理」「緊張感あふれる戦闘」が再び前面に押し出されています。
特に、舞台となる豪華客船「クイーン・ゼノビア」の雰囲気作りや、細部にわたる環境描写が恐怖感を一層高めています。
2. ストーリー詳細解説

1.時系列と物語の位置付け
『BIOHAZARD Revelations』の物語は、『BIOHAZARD 4』と『BIOHAZARD 5』の間に位置付けられています。この時期は、シリーズの中でバイオテロとの戦いが激化し、BSAA(対バイオテロ部隊)の活動が活発化した時期でもあります。
本作は、その中で発生した一連の事件を描いており、後続の作品に繋がる伏線を多く含んでいます。
2.序章:不気味な船旅の始まり

物語は、主人公であるジル・バレンタインとそのパートナー、パーカー・ルチアーニが行方不明のクリス・レッドフィールドを捜索するところから始まります。
クリスの最後の通信が発信された地点は、大西洋上に漂う豪華客船「クイーン・ゼノビア」でした。
ジルたちは船内に乗り込みますが、そこには恐るべきクリーチャー「Ooze(ウーズ)」が徘徊しており、船内にはただならぬ異変が起きていることがすぐに明らかになります。
船内の探索を進めるにつれて、プレイヤーはこの船がかつての栄華を誇った豪華客船であったこと、そして現在はウイルスの感染によって荒廃した空間へと変貌していることを目の当たりにします。
ジルたちはクリスの行方を追う中で、次々に襲いかかるクリーチャーと戦いながら、生存者や情報を探し続けます。
3.テラグリジア・パニックの背景

物語の核心には、「テラグリジア・パニック」という数年前の事件が存在します。
この事件は、人工都市「テラグリジア」がヴェルトロと呼ばれるテロ組織によるバイオテロによって壊滅したもので、t-Abyssウイルスが使用されました。
FBC(連邦バイオテロ対策委員会)は、この事件をきっかけに権威を高め、バイオテロ対策の最前線に立つ組織としてその名を知られるようになりました。
しかし、物語が進むにつれて、この事件には隠された真実があることが明らかになります。
ジルとパーカーは船内で発見した記録やファイルを通じて、テラグリジア事件の裏側にFBCの陰謀が関与していることを知ります。
4.中盤:複雑に絡み合うキャラクターたち

本作には、シリーズの常連キャラクターに加えて新たなキャラクターも登場します。
それぞれの行動や選択が物語の流れに影響を与え、プレイヤーの視点を混乱させる要因ともなっています。
・ジェシカ・シェラワット:クリスのパートナーとして登場するが、その行動には謎が多く、物語の終盤にかけて意外な展開が待ち受けています。
・レイモンド・ヴィスター:FBCのエージェントとして登場するキャラクターであり、ヴェルトロとの関係が疑われています。
・モーガン・ランズディール:FBCの長官であり、物語の黒幕として重要な役割を果たします。彼の野心と策略が物語の展開を大きく左右します。
これらのキャラクターが交錯することで、プレイヤーは「誰を信じるべきか」という疑問を常に抱えながら物語を進めることになります。
5.クライマックス:真相の解明と最終決戦

物語の終盤、ジルとクリスは協力して「クイーン・ゼノビア」の最深部へと向かい、モーガンの計画を阻止しようとします。
そこではt-Abyssウイルスが使用され、全人類を脅かす可能性が示唆されます。
プレイヤーは激しい戦闘を繰り広げながら、ウイルス拡散を防ぎ、FBCの腐敗を暴露するという二重のミッションに挑むこととなります。
最後の戦いでは、強力なクリーチャーとの戦闘がプレイヤーを圧倒しますが、その中で徐々に物語
3. キャラクターの詳細解説
本作に登場するキャラクターたちは、それぞれが物語の流れに大きな影響を与える重要な役割を持っています。
彼らの個性や背景、物語での立ち位置を掘り下げていきます。
1.ジル・バレンタイン

ジルは『BIOHAZARD』シリーズの初期作から登場する、ファンにとっておなじみのキャラクターです。
本作では、冷静かつ的確な判断力を発揮し、パートナーのパーカーと共に物語の中心で活躍します。
ジルの過去の経験が、船内での探索や戦闘において頼もしい存在として描かれています。
彼女の強い意志と決断力は、物語全体の推進力ともなっています。
2.クリス・レッドフィールド

BSAAのエージェントであり、ジルと同じくシリーズを代表するキャラクターです。
本作では序盤は不在ながら、中盤以降でジェシカと共に別の視点から物語に関与します。
クリスの登場により、物語は一気にスケールを広げ、彼の行動が事件解決のカギとなります。
3.パーカー・ルチアーニ
ジルの新たなパートナーとして登場するキャラクターであり、そのユーモアと人間味あふれる性格が、緊張感のある物語の中で一種の癒しを与えます。
パーカーは元FBCのエージェントであり、その過去が物語の中で重要な役割を果たします。
4.ジェシカ・シェラワット
クリスのパートナーとして登場する一方で、物語を進めるうちに彼女の行動には多くの謎が含まれていることが明らかになります。
ジェシカの過去や目的は、プレイヤーの視点を混乱させる重要な要素となっています。
5.モーガン・ランズディール
本作の黒幕であり、FBCの長官としてテラグリジア事件を利用した張本人です。
彼の冷酷な性格と権力への執着が物語の緊張感を高めています。
モーガンの策略は、物語の終盤でプレイヤーを驚かせる形で明らかになります。
6.レイモンド・ヴィスター
謎めいたFBCのエージェントであり、彼の行動はしばしばプレイヤーを混乱させます。
ヴェルトロとの関係やその目的が物語のキーとなっており、プレイヤーに対して真実と虚構の境界を揺さぶります。
4. ゲームデザインとホラーの表現

本作は、従来の『BIOHAZARD』シリーズに見られる「サバイバルホラー」の要素を忠実に再現しつつ、新たな技術とアイデアを取り入れています。
ここでは、ゲームデザインの特徴と、それがどのようにプレイヤー体験に影響を与えるかを解説します。
1.閉鎖空間としての豪華客船

舞台である豪華客船「クイーン・ゼノビア」は、狭い通路や密閉された部屋が連なる閉鎖空間として設計されています。
この空間は、シリーズ初期の洋館を彷彿とさせる構造でありながら、水漏れや腐食したインテリアなど、独自の恐怖感を演出しています。
また、船内は暗く静かな環境が多く、不意に現れるクリーチャーが緊張感を高めています。
2.資源管理と戦闘の緊張感
弾薬や回復アイテムが限られているため、無駄遣いをすると攻略が困難になります。この制約により、プレイヤーは慎重に行動し、敵と戦うか逃げるかを判断する必要があります。
また、「ジェネシス」というスキャニングデバイスを使用することで、周囲のアイテムを発見できるシステムが導入され、探索の緊張感が増しています。
3.マルチパースペクティブの物語構成
本作では、ジルたちの視点だけでなく、クリスや他のキャラクターの視点も交互に描かれることで、物語が複雑に絡み合います。この手法は、プレイヤーに多面的な視点を提供し、ストーリーの深みを増しています。
5. シリーズ全体への影響

『BIOHAZARD Revelations』は、『BIOHAZARD』シリーズ全体に大きな影響を与えました。
その後の作品やスピンオフにおいて、本作で描かれたテーマやキャラクターが引き継がれる場面が多く見られます。
1.t-Abyssウイルスの登場
本作で初登場したt-Abyssウイルスは、シリーズ全体のウイルス進化の流れを補完するものであり、その後の作品にも影響を与えています。ウイルスの特性やその影響は、物語の緊張感をさらに高める役割を果たしました。
2.続編『BIOHAZARD Revelations 2』の制作
『BIOHAZARD Revelations』の成功を受けて、続編となる『BIOHAZARD Revelations 2』が制作されました。続編では新たなキャラクターや物語が展開され、本作で確立された要素が引き継がれています。
3.サバイバルホラーの復権
本作の「原点回帰」の成功は、シリーズ全体が再びサバイバルホラーの方向性に舵を切るきっかけとなりました。その後の『BIOHAZARD 7』やリメイク作品におけるホラー要素の強化にも影響を与えています。
6. ファンの評価とその影響

本作は、シリーズファンの間で非常に高い評価を得ました。
特に、「原点回帰」というテーマは、シリーズ初期のファンから絶賛されました。
一方で、アクション寄りのゲームプレイを好むプレイヤーからは、やや控えめな戦闘要素に物足りなさを感じる声もありました。
また、携帯ゲーム機として登場したこともあり、初期のリリースでは注目度が限定的でしたが、HDリマスター版の登場により、幅広い層のプレイヤーに認知されるようになりました。
このことは、カプコンがリマスター版を通じて過去作品を再評価し、新たな市場を開拓する成功例のひとつとされています。
7. まとめ:恐怖と謎が織りなす傑作

『BIOHAZARD Revelations』は、シリーズ初期のサバイバルホラーの本質を見事に再現しつつ、新たな舞台やキャラクターによってシリーズ全体を豊かにする作品です。
物語の構造や舞台設定、ゲームデザインが絶妙に調和し、プレイヤーに緊張感と達成感を提供します。
本作が示した「原点回帰」の成功は、ホラーゲームというジャンルにおける新たな基準を提示するものであり、現在でも多くのファンに愛されています。