Activision Blizzard訴訟問題まとめ オーバーウォッチ2などへの影響は

公開日: 2022/2/9
https://seekingalpha.com/article/4102302-activision-momentum-end

大手ゲーム企業「Activision Blizzard」は現在、様々な問題に直面しています。

セクハラ問題の訴訟から始まり、裁判、ストライキなど悪いニュースが続々報道されています。

1. Activision Blizzard(アクティビジョン・ブリザード)




https://www.activisionblizzard.com/

まずは、「Activision Blizzard」について説明する必要があるでしょう。

Activision Blizzardは、アメリカ合衆国カリフォルニア州に拠点を置くゲーム会社です。

2008年に「Activision」と「Blizzard」を傘下に持つ「Vivendi Games」が合併して設立されました。

Activision Blizzardは新作ゲームの開発と共に、両社が合併する以前に開発したゲームの運営も行っています。


「Activision Blizzardの代表作」

・クラッシュ・バンディクーシリーズ(Activision)
・スパイロ・ザ・ドラゴンシリーズ(Activision)
・コールオブデューティーシリーズ(Activision)
・Destiny(Activision)
・ウォークラフトシリーズ(Blizzard)
・ディアブロシリーズ(Blizzard)
・スタークラフトシリーズ(Blizzard)
・ハースストーン(Blizzard)
・World of Warcraftシリーズ(Blizzard)
・オーバーウォッチシリーズ(Blizzard)


上記のように、世界的に人気の高いゲームを数多く手掛けたゲーム会社です。

合併後はElectonic Artsを抜き、世界最大のゲームメーカーとなりました。

現在はオーバーウォッチ2の開発も行っていますが、後述の訴訟問題などを受け、開発は難航しているようです。

2. Activision Blizzard訴訟問題




Activision Blizzardが抱える様々な問題が露呈する発端となったのは、 アメリカ合衆国カリフォルニア州の公正雇用住宅曲(DFEH)が2021年7月20日にActivision Blizzard及びその小会社を相手に起こした訴訟でした。

訴訟を起こす前に、DFEHは2年間に渡りActivision Blizzardを調査していました。

DFEHはActivision Blizzard社内で女性従業員に対する性的ハラスメントや、 賃金や昇進機械の不公平が存在し、男性従業員を中心とした有害な職場文化が根づいていると主張しました。

Activision Blizzardへ対する訴訟のニュースはゲーム業界だけでなく、ゲーマーや他業界にまで波紋が広がりました。

SNSではActivision Blizzardの元社員や現社員から不当な扱いを受けたという証言も多々発見されました。

Activision Blizzardは急いで声明を発表し、社内メールの発信を行いました。

しかし、その内容はDFEHを批判するものであり、Activision Blizzardの立場が悪化する結果となりました。

Activision Blizzardの対応は不適切であると判断した海外メディアやストリーマーも多くいます。

彼らはActivision Blizzardの扱うゲームの報道やゲーム配信を行わない意向を示しています。

3. 社員による講義からストライキへ




Activision Blizzardの訴訟問題が発覚後、関係者やゲーマーからの批判は止まりません。

2021年7月26日には、従業員によって抗議の公開状が作成・公開されました。

公開状の内容は「社内メールに関する反対意見」を示すものでした。

この公開状には、約3,100名もの署名がなされたようです。

これらの講義に対しActivision Blizzard CEOの「Bobby Kotick氏」は、従業員に対して謝罪をするとともに、環境改善を約束しました。

また、法律事務所「WilmerHale」に協力してもらう事も発表しています。

しかし、この声明は従業員たちを納得させるまでに至らず、逆に反発を招く結果となりました。

先述の「WilmerHale」はAmazonの労働者組合の設立を阻止した実績があったのです。

労働者の敵になるであろう機関をActivision Blizzardは味方にしようとしたと判断されたのでしょう。

Activision Blizzardに不満を持つ従業員たちは2021年7月28日、ついにストライキを決行しました。

同じく社内ハラスメント問題を抱える「Ubisoft」の従業員と連名で公開状を作成し声明を発表し「ゲーム業界全体の職場改善」を訴えました。

これらの表明にはゲーム業界関係者及びコミュニティからは支持する声が多く集まりました。

従業員の抗議活動への支持者たちはSNSなどで「青いハートマーク」や「青一色のアイコン」をトレードマークとしています。

「オーバーウォッチ」のキャラクター「マクリー(現:キャスディ)」を演じる声優も講義の支持を表明しています。

Activision Blizzard側は従業員との話し合いを行ったものの、ストライキで掲げられた「要求」に対しては受け入れない姿勢を示しています。

4. 男性従業員へのハラスメントも




Activision Blizzardでハラスメント被害を受けていたのは女性従業員だけではありません。

Blizzardのeスポーツ部門で勤務していた男性は、女性の上司から人種差別を含む嫌がらせを日常的に受けていたと告発していました。

告発をした「Julian Murillo-Cuellar氏」によると、彼が嫌がらせを受けていたのは、2016年~2018年頃だといいます。

加害者である女性上司は、Julian氏のルーツが南米系であることを理由に性差別主義者であると決めつけて嫌がらせを繰り返したようです。

結果、Julian氏は精神を病んでしまい自殺を考えたこともあったが周囲の支えのおかげて生き延びたといいます。

他の元従業員は男性職員へ対する性的ハラスメントも証言されています。

男性従業員へ対する身体的接触や性交渉の誘いなどがあったといいます。

シニアマネージャーを含む複数の男性従業員が「男性器を掴む遊び」を行っていたという証言もあります。

DFEHによると、少なくとも3名の男性従業員からの被害報告が提出されているそうです。

5. オーバーウォッチのキャラクター名変更




http://plank-69.deviantart.com/art/Mccree-Overwatch-563710063

Activision Blizzardの訴訟問題は同社の看板タイトルの1つにも大きな影響を与えました。

「ジョー・マクリー」、「オーバーウォッチ」に登場する人気キャラクターです。

Blizzardのリードレベルデザイナー「ジェス・マクリー」が名前の由来です。

マクリー氏はセクハラ容認を示唆する社内のグループチャットに参加していた事が判明しています。

その事実が批判を招き、オーバーウォッチのコミュニティから大きな反感を買うことになりました。

一部のプレイヤーはオーバーウォッチのキャラクターに「マクリー」の名が使われている事に強い嫌悪感を感じ、改名を求める声も上りました。

この騒動を受け「マクリー氏」はBlizzardを離職し、「マクリー」は改名のために一時的にゲームから削除されることとなりました。

約2ヶ月後、ゲームに帰ってきた彼は「コール・キャスディ」と名前を変えていました。

キャスディいわく「無法者が最初に失うもの、それは”名前”だ」

罪のないキャラクターが”無法者”として名を失いましたが、真の無法者が罰せられるのはいつになるのでしょうか。

6. セクハラや不祥事で37人を解雇、44人が懲戒処分




Activision Blizzardは性的ハラスメントなどの訴訟やストライキが発生後、多数の社員を処分していたことが判明しました。

Activision Blizzardはこの人事について発表する予定でしたが、問題が明るみになるのを嫌ったCEO「Bobby Kotick氏」が隠蔽するように社内に通達したようです。

「 The Verge」や「WSJ」によるとセクハラ問題への対応のため、2021年7月以降にActivision Blizzardの従業員が37名退職し、不正行為疑惑に関連して44人が懲戒処分を受けたといいます。

WSJが入手した内部文書にでは、不正行為等の社内からの告発が重複しているものを含めて700件以上あったことも判明しました。

これらの報道に対してActivision Blizzardの広報担当は解雇と懲戒処分があったことを認めています。

Activision Blizzard CEOの「Bobby Kotick氏」は社内での不正行為を認識しながらも、放置するだけでなく、同氏自身が性的ハラスメントに加担していたとの報道もあります。

Activision Blizzardの現従業員は約10,000人ですが、全体の5分の1もの従業員がBobby Kotick氏の辞任を求める請願書に署名をしています。

7. 最後に

Activision Blizzardは、数多くの人気ゲームを手掛けてきた大手ゲーム会社です。

しかし、現在は悪い意味で世界一有名なゲーム会社となってしまいました。

Activision Blizzardの社内体制を改善し、今後も面白いゲームを世に送り出してくれるのでしょうか。

今後のActivision Blizzardの声明や活動に要注目です。


「Activision Blizzard(公式サイト)」
https://www.activisionblizzard.com/

「Activision Blizzard(Twitter)」
https://twitter.com/ATVI_AB