FiiO K3ESレビュー!音楽だけでなくゲームの使用感も

公開日: 2023/3/22

「FiiO(フィーオ)」というオーディオメーカーをご存知でしょうか。

FiiOはポータブルオーディオプレイヤーやヘッドホンアンプで有名なメーカーです。

PCゲーマーの方はともかく、PS4やNintendo Switchでゲームを遊んでいる人には馴染みが無いメーカーかもしれません。


今回は、そんなFiiOのヘッドホンアンプ「K3ES」のレビューをお届けします。

ゲーミングアンプではないFiiO KESがゲームにも使えるのかどうかなども検証していきます。

1. FiiO K3ESの基本情報(大きさ・スペックなど)


FiiO K3ESは非常に小型なヘッドホンアンプです。

一見、「スマホやオーディオプレイヤーで使用するポータブルアンプではないか?」と思えるほどに小さいです。

実際に持ち運べない大きさではありませんが、スマホからの給電では動作に不十分かもしれません。

【FiiO K3ESの主な特徴】

・DACチップにES9038Q2Mを採用
・最大384kHz/32bitのPCMデータおよび11.2MHzのDSD再生に対応
・オペアンプ OPA926を採用
・フルバランス2.5mmバランス出力に対応
・スイッチによる2段階のゲイン調整に対応
・スイッチによるBass Boostに対応
・電源フィルターおよび過電圧防止機能付きのType-C端子を搭載
・ゲーム機で直接使用することはできない。※PC専用

【FiiO K3ESのスペック】

・種別:PC用のヘッドホンアンプ
    ※Nintendo Switch、PS5などでは使用不可
・DACチップ:ES9038Q2M
    ※旧バージョンはSK4452
・出力端子:3.5mmアンバランス、2.5mmバランス、光デジタル、同軸デジタル
・電源:USB Type-C(バスパワー駆動)
・機能:Bass Boost(低音増強)、ゲイン増強(音量増強)
・入力対応サンプリングレート:384kHz/32bit・DSD256(ASIOネイティブ)
・出力対応サンプリングレート:PCM192kHz/32bit・DSD64(DOP出力)
・出力対応サンプリングレート(TOS光):96kHz/32bit
・出力(3.5mmシングルエンド):220mW(16Ω)/120mW(32Ω)
・出力(2.5mm 4極バランス):344mW(16Ω)/200mW(32Ω)
・対応インピーダンス:16-150Ω
・S/N比:120dB以上
・THD+N:0.002%以下
・周波数特性:20Hz -80kHz
・サイズ:70.2x58x22mm
・重量:約82g
・価格:15,750円(Amazon)

2. 前機種FiiO K3との違い

FiiO K3ESの前機種に「Fiio K3」という全く同じ見た目のヘッドホンアンプが販売されていました。

主な変更点はDACチップが「AK4452」から「ES9038Q2M」へと変更された点です。

その他にも細かなスペックの変更が行われています。

商品名K3ESK3
DACチップES9038Q2MAK4452
出力PO 120mW(32Ω)
BAL 200mW
PO 120mW(32Ω)
BAL 200mW
SNRPO 121bBr
BAL 120dBr
LO 121dBr
PO 121bBr
BAL 112.5dBr
LO 114dBr
NoisePO 4μV
BAL 6μV
LO 3μV
PO 8μV BAL 12μV LO 7μV
THD +N0.002%0.004%

2-1. K3とK3ESの見分け方


FiiO K3ESと旧型のFiiO K3の外箱パッケージのデザインはどちらも「K3」と書かれており、違いが非常に分かりづらいです。

FiiO K3ESとK3の違いは、外箱背面に貼り付けてあるバーコードに製品型番が書かれており、そちらで判断できます。


また、購入後にWindowsにインストールした「FiiO Control Panel」からも確認ができます。

「Info」タブの「Revision」の値がv2.21以降の場合はFiiO K3ESです。

3. FiiO K3ESは家庭用ゲーム機(PS5・Switchなど)では使用できない


FiiO K3ESはUSBで接続してもNintendo SwitchやPS5などのゲーム機では動作しません。

やはり、FiiO K3ESは「PC専用のヘッドホンアンプ」ということでしょう。

もちろん、キャプチャーボードなどを経由してキャプチャーした音声をPC経由で聞きながらゲームをプレイすることは可能です。

PS5などの音質を良くしようと考えている人はFiiO K3ESではなくASTRO MixAmpのような家庭用ゲーム機に正式対応しているゲーミングアンプを使用することをおすすめします。

4. スマホ(Android、iOS)への接続も非推奨


FiiO K3ESはiOSやAndroidのデバイス(スマホ・タブレットなど)での動作が保証されていません。

FiiO K3ESは外部電源から電力を供給するため、スマホなどからの給電では不十分な場合があります。

また、FiiO公式が「非推奨」と名言しているため、不具合が起きた場合に保証対象外となる可能性もあります。

5. マイク入力に非対応(ヘッドセットに非対応)

FiiO K3ESはゲーム用アンプでもなければ、オーディオインターフェイスでもありません。

純粋に「良い音を再生する機器」のため、マイク入力には対応していません。

もちろん、マイクが標準装備されているヘッドセットを接続しても、マイクを認識することはありません。

FiiO K3ESとマイクを併用したい場合は、別途USBコンデンサーマイクやオーディオインターフェイスを購入する必要があります。

6. FiiO K3ESの本領を発揮するには専用ドライバーが必要

Fiio K3ESはUSBでPCに挿したらそのまま使えるヘッドホンアンプです。

しかし、本領を発揮して「最高の音」を楽しむためには「専用ドライバー」のインストールが必要です。

Fiio K3ESの専用ドライバーはFiiO公式サイトのサポートページの最下部の「USB Audio ドライバードフとウェア」からダウンロードできます。


【FiiO K3ES サポートページ】
https://www.fiio.jp/support/k3es/

1.「FiiO USB Audio Driver v5.30.0(Windows 10, Windows11)」をクリック。

2.ダウンロードしたexeファイルを実行。画面に従いインストール。

3.ツールバーに「List Audio USB Audio Device Control Panel」が表示される。


4.「Status」の「USB Audio Device」に「FiiO K3」と表示されるのを確認。
※旧バージョンの名前が表示されますが、問題ありません。

5.PCの音声を再生するスピーカーを「FiiO Q Series」に変更。

7. FiiO K3ESのファーストインプレッション


音質の検証は「FiiO K3ES 」に「Senheiser HD599SE」を付属の3.5mmアンバランス接続して行いました。

2.5mmバランス接続での検証も行いたかったのですが、ケーブルが手元に届いていないため、今回は検証できていません。


ファーストインプレッションとしては「非常にフラットで聞きやすい、キレイな音」と感じました。

音質に関してはASTRO MixAmpやSenheiser GSX300、Steelseries Gamedacとは比較にならない程に良いです。

特に音の解像度の高さが特徴的で、音楽やゲーム内の様々な音をはっきりと聞き分けることができます。


FiiO K3ESはゲームだけではなく、音楽や動画などでも「良い音」を楽しみたい人におすすめです。

ただし、「イコライザー設定」など細かな設定は行えないため、音を「ゲームごとにカスタムしたい」「音楽・ジャンルごとにカスタムしたい」といった人にはあまりおすすめできません。

8. 音の解像度が高い=ゲームで有利


FiiO K3ESの特徴の1つが「音の解像度の高さ」です。

音の解像度が高いということは、「足音や銃声などゲーム内の音がはっきりと聞き分けられる」ということです。

すなわち、ゲーム内の定位感が良くなり敵の位置などの重要な情報が得やすくなるのです。


さらに加えて「Bass Boost」を有効にすると、ステレオ再生のみでも必要十分な定位感を得ることができました。

ただし、FiiO K3ESは音楽用のヘッドホンアンプです。

ゲーミングアンプのような「7.1chサラウンド」などのゲーム向けの機能は搭載されていません。

「ゲームにはサラウンド機能は必須!」と考える人はASTRO MixAmpやSteelseries Gamedacを使用した方が良いかもしれません。

9. インピーダンスの高いヘッドホンを鳴らせる


FiiO K3ESはインピーダンスが高い(音量が取りづらい)ヘッドホンの再生にも向いています。

筆者が使用しているヘッドセットSenheiser HD599SEのインピーダンスは「50Ω」です。

特別インピーダンスが高いわけではありませんが、一般的なイヤホンに比べると音量は取りづらい物でした。


FiiO K3ESは更に音量が取りづらいことでも有名なbeyerdynamic DT990PROなども十分に鳴らすことができる性能を有しています。

PCのオンボードやASTRO MixAmpなどに繋いで「音量が取りづらい」と感じている人はFiiO K3ESを試してみてはいかがでしょうか。

10. まとめ


今回はPC専用のヘッドホンアンプ「FiiO(フィーオ) K3ES」をレビューしました。

FiiO K3ESは非常に解像度が高い音が特徴的で、ゲーム・音楽・映画など様々な用途で良い音を楽しむことができます。

ゲームでは音の解像度の高さから、ゲーム内の銃声や足音などをはっきりと聞き分けることができ、ゲーム用途にも十分に使えると言えます。


ただし、FiiO K3ESはNintendo SwitchやPS5などの家庭用ゲーム機に対応しておらず、7,1chサラウンドやイコライザーなど、ゲーム向けの機能が一切搭載されていません。

音楽用のアンプなので当然ですが、ゲーム用機能のみを求める人には不満かもしれません。


しかし、DT990PROなどの高インピーダンスのヘッドセットを鳴らせる点や2.5mmバランス接続対応、Bass Boost(低音強化)、ゲインブーストなど、PCゲーマーにとって嬉しい機能も多く搭載されています。

普段からPCでゲームをしていて、音楽や動画鑑賞もPCで行っているという人にとっては、全ての音をワンランク以上高めてくれる、素晴らしいデバイスであると言えます。


ゲーム性能のみを求める人はASTRO MixAmpやSteelseries Gamedacなどのゲーム用アンプ。

音楽鑑賞や映画鑑賞もしたい人はFiiO K3ESなどの音楽用ヘッドホンアプと「自分にとって必要な機能が何であるか」をよく考えてアンプ選びをすると良いでしょう。

既にゲーム用アンプを持っているものの「音質は満足できていない」という人にもおすすめです。

「音楽用アンプだからこそ聞けるゲーム内の音」に気づけるかもしれませんよ。