任天堂の決算発表会での質疑応答まとめ Switch本体の値上げや次世代機についても

公開日: 2022/12/7
https://www.nintendo.co.jp/hardware/switch/index.html

任天堂の第2四半期決算説明会/経営方針説明会が開催され、任天堂の今後に関する質疑応答が行われました。

質疑応答ではNintendo Switch Onlineの有料会員が3,600万アカウントを超えたことによる今後の展開や、円安の影響を受けてNintendo Switchの価格が変更されるかなどといった質問が行われました。

そこで今回は、任天堂の第2四半期決算説明会/経営方針説明会の質疑応答の内容を紹介します。

1. Nintendo Switchの後半に入った来期の位置付けについて


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Q.来期の位置付けについて教えてほしい。来期には Nintendo Switch が発売後 7 年目に入り、 映画を含めた IP 展開など新たなビジネスも進んでいくことになる。

Nintendo Switch はライフサイクルの後半に差しかかってくるので、 プラスアルファとして他のビジネスでどう補完していくのかも含めて教えてほしい。



A.来期について、まずは当期の通期販売計画を上回れるよう年末商戦にしっかり取り組むことで、 引き続き Nintendo Switch は勢いをもって 7 年目に入れるのではないかと思います。

足元で Nintendo Switch ハードウェアの販売は堅調に推移しています。需要面においても、新規需要はさすがに発売後の数年間とは異なるものの、 『スプラトゥーン 3』や『ポケットモンスタースカーレット・バイオレット』の 特別仕様ハードウェアの発売効果もあり、家庭内の複数台需要や従来のモデルから Nintendo Switch(有機 EL モデル)への買い換え需要を含めたさまざまな需要を生み出すことができています。

来期の Nintendo Switch ビジネスに関しても、基本的に当期と同様に臨んでいきたいと考えています。

ソフトウェアに関しては、来週に『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』の発売を控えており、 来期に関しても『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』や『ピクミン4』など、 任天堂の大切な IP に関わるタイトルの発売予定をすでに発表しています。

また、ご指摘の通り、映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』も当社にとっては非常に重要で、新しい取り組みの1つです。

このような施策に総合的に取り組み、本日のプレゼンテーションでご説明しました基本戦略に沿って、 お客様と任天堂 IP の接点の具体例を着実に積み重ねていきたいと考えています。

2. Nintendo Switch Online会員に対する取り組みについて


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Q.今後、Nintendo Switch Online の会員数をさらに増やし、 加入されているお客様の熱意を高めるためにどのような取り組みを考えているのか教えてほしい。


A.Nintendo Switch Online の有料会員数は、2022 年 9 月末現在で 3,600 万アカウント以上となっています。

利用期間満了後に更新されないお客様も一部いらっしゃいますが、 Nintendo Switchを遊んでいただいているお客様の増加や、オンラインプレイ対応タイトルの発売に伴って会員数が増加しています。

また、昨年サービスを開始した Nintendo Switch Online + 追加パックについても、 ニンテンドウ 64 のタイトルを追加したことなどによって、 徐々に加入者全体に占める割合が増えてきています。

Nintendo Switch Online は、お客様に Nintendo Switch を⾧く遊んでいただくためのサービスですので、 サービス内容の充実を含め、いろいろな取り組みを考えています。

また、本日のプレゼンテーションでお話ししたように、私たちはニンテンドーアカウントを介してお客様と⾧きにわたる良好な関係を保ち続けることを目指しています。

Nintendo Switch Online もこの基本戦略に沿って、 お客様に末永く Nintendo Switch を楽しんでいただくための取り組みとして考えています。

3. スプラトゥーン3が海外では日本ほど売れていない件について


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Q.『スプラトゥーン 3』の初動において、日本国内と海外で販売本数に差がついた理由を教えてほしい。

一般的に海外は日本より出足が遅いことは理解しているが、 前作の『スプラトゥーン 2』では、今作ほど大きな差ではなかった。

何かマクロ経済的な要因が影響しているのか。



A.『スプラトゥーン 3』は、日本における初動の販売本数が非常に大きかったため、 国内と海外で販売本数の差が大きく見えていると思います。

実際には、海外においても前作の『スプラトゥーン2』を上回って、好調なスタートを切っています。

日本での初動がより大きくなった理由としては、市場環境が挙げられると思います。

日本は 6 月の終わりに、カプコン様の『モンスターハンターライズ:サンブレイク』が発売され、特に夏の間に Nintendo Switch の稼働が上がり始めました。

その後、『ゼノブレイド 3』や『カービィのグルメフェス』、『マリオカート8DX コース追加パス』などにより、稼働を非常に高い水準で維持できていました。

そのタイミングで『スプラトゥーン 3』の「前夜祭」を開催し、特に日本の市場での盛り上がりに繋げることができました。

『スプラトゥーン 3』は、従来から「スプラトゥーン」シリーズを熱心に遊んでいただけているファンの方はもちろん、 以前遊ばれていて離れてしまったお客様に、どれだけ手に取っていただけるかというのが重 要なテーマだと考えていました。

これに加えて、私たちの想定を大きく上回っていたのは、新規のお客様が多かったことです。

これについては日本だけではなく、海外でも似たような傾向があり、 2017 年に『スプラトゥーン 2』を発売した当時と比較しても、 Nintendo Switch をより多くのお客様の手に届けられた結果だと思います。

つまり、『スプラトゥーン 3』の発売に向けて十分に稼働を高められたことが、 日本における初動の販売本数が想定より大きくなった理由と認識しています。

逆に海外に関しては、これからまだまだ販売を伸ばせる余地があるとポジティブに捉えています。

4. 円安を受けてNintendo Switchを値上げするかどうかについて


Q.足元では円安が進行しているが、それを理由としたハードウェアの価格変更は考えていないのか。

また、Nintendo Switch は発売から 6 年目を迎えているが、昨今のインフレや円安、 競争環境の変化等を通じて、ライフサイクルの⾧期化を目指す考えに変更は生じていないか。



A.現時点ではハードウェアの値上げをする予定はありません。

ただし、想定を上回る規模と期間で円安が続いているため、 今後も状況を注視しながら、慎重に検討していきたいと考えています。

特に日本においては、大幅な円安が⾧期間続いていることで、 ハードウェアの採算性が低下していることは事実です。

インフレ等、その他の要因による影響についての認識は以前と変わりありません。

現時点で大きな影響があるとは考えていませんが、引き続き当社製品の販売への影響を注視していきます。

5. マリオの映画化を含めた任天堂IPの今後について


https://www.nintendo.co.jp/nintendo_direct/20221007/index.html


Q.「マリオ」の展開について伺いたい。

(日本で 2023 年 4 月 28 日公開予定の)『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の見どころはどこか。

また「マリオ」を筆頭にモバイルや映像、テーマパークでの展開など、 任天堂 IP に触れる人口の拡大戦略を進めてきたが、この次にはどういった分野での展開を考えているのか。

今後の⾧期的な任天堂 IP の展開について教えてほしい。



A.映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』においては、 イルミネーション創業者・代表のクリス・メレダンドリ氏と企画から 7 年、制作からは 6 年、一緒に仕事をしてきました。

その中でゲームを映像化することの魅力と、お客様が何を求めていらっしゃるかについて考えてきました。

例えば、小説や漫画は、ストーリーも含めて既にお客さまが楽しまれたものですので、 その映像化作品は面白さがある程度担保されていると思います。

一方で、ゲームは「ゲームの体験」がお客様にとって面白いわけなので、 その「ゲームのストーリー」に沿った映像化が必ずしもお客様に面白いと思っていただけるかどうかはわかりません。

また、ゲームを遊んだことのある方は、ゲームの思い出を裏切らない映像化を期待されますし、 ゲームを遊ばれたことのないお客様は、エンターテインメントとして面白い作品を期待されます。

この 2 つの課題をどう乗り越えていくかにこれまで時間を費やしてきました。

そして、自分で言うのもなんですけど、手応えを感じていますので、ぜひとも楽しんでいただけたらと思います。

「任天堂 IP に触れる人口の拡大」に関しては、2014 年頃からそれをテーマにビジネスを行ってきました。

任天堂はこれまで花札の会社、トランプの会社、テレビゲームの会社と遷り変わってき ましたが、 その変遷の中で当社にとって大事なことは、任天堂が自社でキャラクターや IP をたく さん保有してきていることだと考えています。

私は任天堂のことを、グローバルで通用するタレントがたくさんいる事務所のようなものだと考えています。

昨今、自社でインフラを保持・展開する会社がどうしても力を持つ環境にありますが、 私たちはコンテンツをしっかりつくって管理すると同時に自ら展開もできる会社として、 誰とでも対等でいられる強い会社になりたいと思っています。

6. 任天堂の次世代機について

Q.ニンテンドーアカウントや Nintendo Switch Online を通じてお客様との距離が近くなり、 ゲームにおけるユーザーアクティビティなどの状況が以前よりも見えやすくなったと思う。

このような情報が、ソフトウェアや次世代機の開発に影響を与えることがあるのか教えてほしい。



A.SNS などを通じて、お客様の声を聞く機会は増えていますし、さまざまな情報が入ってきます。

すべての情報をそのまま受け入れることはできないのですが、 お客様が私たちのゲームにどのように反応されているかということを参考にしながら、 どうすればお客様に楽しんでいただけるかを常に考えて、開発を進める必要があると思います。

Nintendo Switch Online における新しい取り組みを含め、どのような面白いことが実現可能か、 開発者も楽しみながら、お客様に楽しんでいただける製品を開発していきたいです。


Nintendo Switch の世代になって、ニンテンドーアカウントを通してお客様との距離が近づいたと感じています。

本日の説明会でご説明した基本戦略に基づくたくさんの活動がある中で、 その中心には引き続き任天堂らしいハード・ソフト一体型のビジネスが存在していると考えています。

当社のゲーム専用機は、ユニークなゲーム体験をお届けすることを一番大事にしていますが、 今後はニンテンドーアカウントを介したゲーム専用機以外におけるお客様の体験と、 中核となるゲームビジネスがつながりやすくなることも考慮しながら、 ハードウェアとソフトウェア両方の開発に取り組んでいかなければと考えています。


次世代機のことはまだお話できる段階にはありませんが、 一番大事にしていることは、ハード・ソフト一体型のユニークな製品づくりをすることであり、 そこにニンテンドーアカウントを活用した活動をうまく結びつけていければと考えています。

7. まとめ

任天堂の第2四半期決算説明会/経営方針説明会の質疑応答の内容を紹介しました。

円安が止まらない昨今ですが、現状で任天堂はNintendo Switchを値上げする予定は無いようです。

任天堂はNintendo Switch Online(ニンテンドーアカウント)を重視しており、次世代機もニンテンドーアカウントを活用したゲーム機になるようですね。

来年以降も任天堂のゲーム・IPの活躍に要注目です。


「任天堂公式サイト」
https://www.nintendo.co.jp/