携帯ゲーミングPC(UMPC)Anbernic Win600レビュー
話題の「Steam Deck」や「AYANEO Air」などに性能は劣りますが、内蔵メモリやストレージ(SSD)を簡単に換装できるといったデバイスマニアには面白い作りとなっています。
Anbernic Win600はSteamOSやBatoseraといったカスタムOSにも対応しているため、自分の使い方に合ったOSを選択できるのも魅力的ですね。
1. Anbernic Win600 3つのモデル
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Anbernic Win600はCPUとストレージ(SSD)容量が異なる3つのモデルが販売されています。
AMD Athlon Silver 3020eモデル
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AMD Athlon Silver 3020eモデルはブラックのみの販売です。
「スペック」
CPU:AMD Athlon Silver 3020e
メモリ:DDR4-2400 8GB
SSD:M.2 SATA 2242 SSD 128GB
価格:41,599円(送料別)
AMD Athlon Silver 3050eモデル
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AMD Athlon Silver 3050eモデルはブラック、ホワイトの2カラーが販売されています。
ストレージが256GBに増えており、より多くのゲームをインストールできます。
「スペック」
CPU:AMD Athlon Silver 3050e
メモリ:DDR4-2400 8GB
SSD:M.2 SATA 2242 SSD 256GB
価格:51,599円(送料別)
スペシャルエディション(ブルー)
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スペシャルエディションはAMD Athlon Silver 3050eをベースに各パーツを最大限に増設したモデルです。
カラーは光沢感のあるブルーで特別感を感じるデザインになっています。
ストレージは1TBもあるため、100GB近い超重量級のゲームをインストールすることもできます。
メモリは16GB・3200Hz駆動の物へと換装されており、ゲーム動作の改善も見込めるかもしれません。
「スペック」
CPU:AMD Athlon Silver 3050e
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:M.2 SATA 2242 SSD 1TB
価格:66,599円(送料別)
2. Anbernic Win600 3020eモデルのレビュー
大きさや重さの計測、操作性の調査、ベンチマーク、PCゲームの動作検証などを行ってみました。
3. Win600の大きさ・重さ
Anbernic Win600の大きさは235×105×23mm、重さは497gでした。
AYANEOなどの高性能なゲーミングUMPCと比べると、かなり軽いです。
大きさはNintendo Switch(旧型)とほぼ同サイズです。
厚みに関しては圧倒的にNintendo Switchの方が薄いですが、そこは仕方ないですね。
4. インターフェイス
Anbernic Win600の上部には「USB Type-Cポート」と「USB-A 3.0ポート」、「リセットボタン」があります。
リセットボタンは爪楊枝のような細い棒でしか押せないようになっているので、間違って押してしまうことはないです。
本体下部には「3.5mmイヤホンジャック」と「ステレオスピーカー」があります。
MicroSDによる外部ストレージの拡張には対応していません。
外部ストレージを使用したい場合は、上部のUSB-A 3.0にUSBメモリを接続するなどの工夫が必要です。
また、ワイヤレス通信は「Wi-Fi5」と「Bluetooth4.2」に対応しています。
外部コントローラやワイヤレスイヤホンを接続することもできるのは良いですね。
本体左側には「音量ボタン」と「電源ボタン」があります。
BIOSモードで起動する際は「音量マイナスボタン」を押しながら電源を投入してください。
本体右側には「マウス・コントローラ切り替えボタン」と「バーチャルキーボードボタン」があります。
5. スクリーン
Anbernic Win600は5.94インチのIPSディスプレイを採用しています。
解像度は1280×720、10点マルチタッチスクリーン機能も搭載されています。
スクリーンの発色、タッチスクリーンの操作感ともにかなり良いです。
解像度はフルHD(1920×1080)には劣りますが、Win600の性能ならこれくらいでちょうど良いでしょう。
6. 操作性
操作性はやや厳しい場面はあるものの、大半は問題ない程度です。
十字キー、ABXYボタンの操作性は素晴らしく、2Dアクションなど十字キーを主に使用するゲームは非常に快適にプレイできます。
左右アナログスティックの位置が低すぎるため、スティック操作をしながらL・Rボタンを操作するのが少し厳しく感じます。
L2・R2ボタンはON・OFFの入力のみに対応したデジタル式ボタンです。
そのため、レースゲームなどで「トリガーを軽く押し込んでアクセルを軽く踏む」といったプレイができません。
最近のレースゲームなどを主にプレイする人には全く適していないゲーム機と言えるでしょう。
7. ベンチマーク(Fire Strike・Time Spy)
Anbernic Win600 AMD Athlon Silver 3020eモデルでベンチマークテストを行ってみました。
今回テストを行ったのはDirectX11グラフィックのテスト「Fire Strike」と
DirectX12グラフィックのテスト「Time Spy」です。
今回のテストはストレージの拡張はしたものの、メモリは標準搭載されている物を標準設定のまま計測しています。
メモリの拡張・オーバークロック、設定の変更などでパフォーマンスが変動する可能性があります。
3D Mark Fire Strike(DirectX11)
DirectX11グラフィックの性能を計測する「3D Mark Fire Strike」のスコアは959点でした。
やはり、最新の3Dのゲームをやるにはかなり力不足といった点数ですね。
ライバル機として名前の挙げられるAYANEO Airのスコアは約2500点のようです。
3D Mark Time Spy(DirectX12)
DirectX12グラフィックの性能を計測する「3D Mark Time Spy」のスコアは377点でした。
これは相当最新のゲームには厳しいスコアと言わざるを得ません。
ライバル機として名前の挙げられるAYANEO Airのスコアは約1011点のようです。
今回のベンチマークテストの結果をAYANEO Airと比較していますが、 Anbernic Win600は40,000円、AYANEO Airは120,000円のゲーム機です。
値段だけでも3倍の差があるので、性能の差が出てしまうのは仕方ないですよね。
お手軽な価格で軽いゲームを持ち運びたい人には魅力的に映るのではないでしょうか。
筆者は東方Projectのゲームなどが持ち運べることに非常に魅力を感じています。
8. 動作検証
東方Project バレットフィリア達の闇市場
東方Projectの最新作「バレットフィリア達の闇市場」のプレイは快適そのものです。
非常に軽いゲームなので当たり前ですが、PCでしか販売されない東方原作を持ち運べるのはちょっとした感動ですね。
カップヘッド(Steam版)
カップヘッドは常時60FPSで動作しているように感じます。
プレイも十字キー中心ですし、非常に快適にぷれいできます。
ソニックアドベンチャー2(Steam版)
Steam版のソニックアドベンチャー2は3Dゲームですが60FPSでプレイできます。
元がドリームキャストのゲームなので当然ですが、16:9の画面に最適化されているため、より綺麗な画面で快適に楽しめます。
Yooka Laylee
Yooka Laylee(ユーカレイリー)は割りと新し目の3Dアクションゲームです。
フィールドも広いためまともに動作しないだろうと思いつつテストしたのですが、意外な結果が出ました。
60FPSで動作とまではいかないものの、30FPS近くで動作しているように感じます。
妙な引っ掛かりやラグも発生しづらいため、十分にプレイ可能な範囲で動作していると思います。
9. まとめ
今回はAnbernic Win600 AMD Athlon Silver 3020eモデルをレビューしました。
筆者がテストに使用したのは下位モデルな上に、メモリの増設などを行っていません。
すなわち、最も性能が低い状態のままテストを行ったことになります。
上位版のAMD Athlon Silver 3050e版のメモリを増設するなどすれば、より良いパフォーマンスを得られるでしょう。
Anbernic Win600はメモリの増設など内部パーツを換装することを前提として作られているゲーミングUMPCです。
元の性能よりも「色々いじれる」という点に魅力を感じる人は多くいるはずです。
また、ボタンのクオリティやバッテリー持ちに関してはAYANEO Airを上回ります。
※筆者はAYANEO Airを所持していませんが、東京ゲームショウでデモ機でゲームをプレイしています。
来年以降はAYANEO Air PlusやAYN Lokiシリーズなど、Anbernic Win600よりも高性能かつコンパクトなゲーミングUMPCが続々と登場する予定です。
もう少し3Dゲームが動くゲーミングUMPCが欲しいという人は、それらの登場を待つと良いかもしれません。
Anbernic Win600の購入はAnbernicの公式ショップをおすすめします。
Amazonやその他ECサイトから購入した商品ではAnbernicからの公式サポートを受けられない可能性があります。
「Anbernic公式ショップ」
https://jp.anbernic.com/