ゲームボーイ風のレトロゲーム専用機「Anbernic RG35XX」レビュー
「Anbernic(アンバーニック) RG35XX」は、2022年に発売され、現在も大人気な「Miyoo Mini(ミユーミニ)」にAnbernicが対抗して販売した中華ゲーム機です。
Anbernic RG35XXの最大の特徴は見ての通り「初代ゲームボーイ風」の本体です。
Anbernicの製品は年々スペックが高まり、昨年はWin600というSteam DeckのようなWindowsゲーム機も販売しています。
しかし、2022年末に原点回帰とも言える「レトロゲームに特化」した本体・OSを搭載したRG35XXが突然販売され、人気が高まっています。
1. Anbernic RG35XXのスペック
Anbernic RG35XXは初期版と後期版でバッテリー容量が異なります。
今回、筆者が手に入れたものは後期版ですが、初期版のスペックも合わせて記載します。
【Anbernic RG35XXのスペック】
システム(OS): Linux ベース(独自OS)
ディスプレイ: 3.5インチ IPSディスプレイ、4:3
解像度: 640×480、229PPI
CPU: ARM Cortex-A9 1.6GHz
RAM: 256MB DDR3
ストレージ: なし
外部ストレージ: microSD×2(1枚最大512MB)
大きさ: 117×81×20mm
重さ: 165g(初期版)、178g(後期版)
バッテリー容量: 2100mAh(初期版)、2600mAh(後期版)
インターフェース: USB Type-C、イヤホンジャック、ミニHDMI、microSDスロット×2
その他: モノラルスピーカー、振動機能
2. 初代ゲームボーイ風のデザイン
ゲームボーイは30年以上前に世界中で愛されていた携帯ゲーム機でした。
現在も熱狂的なファンが多く、本体を修理・改造して使っているゲームボーイファンがいるほどです。
Anbernic RG35XXは初代ゲームボーイを意識、というよりも丸パクリしたような見た目をしています。
筆者は初代ゲームボーイを所持していないため、「ゲームボーイポケット」との比較となります。
Anbernic RG35XXの本体右下部分は丸くなっており、そこにはスピーカーが1つついています。
スピーカーの配置はゲームボーイのまんまですね。
操作ボタンは十字キー、Nintendo Switch(※スーファミ)と同じ配置のABXYボタン、
スタート・セレクトボタンが斜めになっているのは初代ゲームボーイのデザインを参考にしたからでしょう。
※ゲームボーイポケットのスタート・セレクトボタンは横向き
十字キーとABXYボタンの間には「MENUボタン」が配置されています。
このボタンはエミュレーターのショートカット機能やメニュー画面を開くのに使用します。
Anbernic RG35XXの背面にはR1・R2、L1・L2のショルダーボタンが配置されています。
見た目はゲームボーイ風ですが、スーパーファミコンやプレイステーションなどのR・Lボタンを遊ぶための設計でしょう。
そもそも縦型ゲーム機とR・Lボタンの相性が悪いのですが、特別プレイしづらいと言うほど押しづらくはありません。
ただし、一部のアクションゲームなど頻繁にR・Lボタンを使用するゲームのプレイは少しやりづらいかもしれません。
3. Miyoo Miniとの比較
Anbernic RG35XXは明らかにMiyoo Miniを意識して製造されている中華ゲーム機です。
Miyoo Miniは2022年に中華ゲーム機界隈で熱狂的なブームとなり、品切れ状態が続くなど、入手困難な状態が続いていました。
Miyoo Miniは「小型のゲーム機」「コレクションアイテム」としては非常に完成度が高い代物でしたが、ゲームをプレイする「ゲーム機」としてのクオリティは高い物ではありませんでした。
ポケットに入れて持ち運べるという手軽さはあるものの、あまりにも本体が小さすぎて、ゲームをプレイするには窮屈だったのです。
それに対し、Anbernic RG35XXは「ゲームボーイポケットと同程度のサイズ」のため、ゲームをプレイしやすいのが特徴です。
画面の解像度はMiyoo Miniと同じく「640×480」ですが、輝度・発色共にAnbernic RG35XXが上回る印象です。
また、Miyoo Miniは画面が黄色っぽいのに対して、Anbernic RG35XXは綺麗に正しい色で発色できているように感じます。
ただし解像度がそのままで画面サイズが大きくなった分、Anbernic RG35XXはMiyoo Miniに「PPI(ピクセルパーインチ):1インチごとのドット数」では劣ります。
※比較対象はMiyoo Mini V2の初期モデルです。
Anbernic RG35XXには「ミニHDMI端子」が搭載されています。
ミニHDMIケーブルでモニターやテレビと接続することで、大画面でレトロゲームを楽しむこともできます。
筆者としては、携帯ゲーム機には必要の無い機能だと思いますが、どうしても大画面でレトロゲームを楽しみたい人には重宝するかもしれません。
日本ではあまり重要視されていませんが、欧米などではHDMI出力が可能であるかは大きく評価を分けるようです。
家族や友人とパーティが盛んに行われている国ならではの考え方ですね。
4. 操作性・ボタンの押し心地
Anbernic RG35XXの操作性・ボタンの押し心地はかなり良いです。
数千円で買える中華ゲーム機の中ではトップクラスの出来と言って良いでしょう。
R1・R2、L1・L2ボタンは押しやすいとは言えない配置ではありますが、それは縦型ゲーム機である以上しかたないことですし、R・Lボタンを多用するアクションゲームでなけばゲームプレイに大きな支障はありません。
Anbernic RG35XXは「アナログスティックが非搭載」です。
アナログスティックが必須なゲームは快適にプレイすることはできないので注意しましょう。
5. OSについて(GarlicOSがおすすめ)
Anbernic RG35XXは独自のLinuxベースシステムを採用しています。
開封直後に差し込まれているSDカードにはAnbernic公式のカスタムOSがインストールされています。
しかし、Anbernic RG35XXの公式OSは「翻訳があやしい」「機能が少ない」「エミュレーター性能が低い」といった問題を抱えています。
可能であれば、「CFW(カスタムファームウェア)」を導入することをおすすめします。
Anbernic RG35XXでおすすめのCFWは、「GarlicOS(ガーリックOS)」です。
5-1. GarlicOSとは
GarlicOS(ガーリックOS)は、「blackseraph(ブラックセラフ)」さんが開発しているAnbernic RG35XX専用のCFWです。
Miyoo Miniで人気のCFWである「OnionOS(オニオンOS)」を参考にしており、総合エミュレーター「RetroArch(レトロアーチ)」に対応、ベゼル対応、カスタムスキンの導入などが可能な人気CFWです。
5-2. GarlicOSの導入
・解凍ソフト:WinRAR、7Zipなど
・イメージ書き込みソフト:Balena Etcher
・ディスク管理ソフト:MiniTool Partition Wizzard
・ゲームデータ用のmicroSDカード
システム用microSDカードの作成
1.まずはシステム用に使用するmicroSDカードをフォーマットする。
フォーマットには、先程インストールした「MiniTool Partition Wizzard」を使用します。
その際に、ファイルシステムを「FAT32」に指定してください。
2.GarlicOSをダウンロードする。
下記リンク先の「RG35XX-Garlic-MicroSDCardImage.7z」をダウンロード。解凍ソフトで解凍してください。
「GarlicOS(Patreon)」
https://www.patreon.com/blackseraph
3.GarlicOSをシステム用microSDカードに書き込む。
GarlicOSの書き込みには「Balena Etcher」を使用します。
Balena Etcherを起動したら、以下の手順でシステムイメージの書き込みます。
・「Flash From File」をクリック、「RG35XX-Garlic-MicroSDCardImage.7z」を解凍した中にある「garlic.img」を選択。
・「Select Target」をクリック、「システム用microSDカード」を選択。
※ここの選択先を間違えると、HDDやSSDがクラッシュします。必ずシステム用microSDが選択されていることを確認してください。
・「Flash」をクリックしてイメージをMicroSDカードに書き込む。
ゲーム用MicroSDカードの作成
1.ゲーム用に使用するMicroSDカードをフォーマットする。
フォーマットには、システム用MicroSDカードと同じく、「MiniTool Partition Wizzard」を使用します。
その際に、ファイルシステムを「FAT32」に指定してください。
5-3. GarlicOSを起動
「システム用」「ゲーム用」2つのMicroSDカードの作成ができたら、両方のMicroSDカードをAnbernic RG35XXに差し込みます。
システム用MicroSDカードを「TF1」と書かれたスロットに、ゲーム用MicroSDカードを「TF2」と書かれたスロットに差し込んでください。
電源ボタンを長押しして起動すると、自動的にGarlicOSが立ち上がります。
6. ゲームデータの入手方法
Anbernic RG35XXはレトロゲーム専用の中華ゲーム機です。
レトロゲームで遊ぶためには、ゲームデータを入手する必要があります。
ゲームデータはダンパー(吸い出し機)で吸い出しを行う必要があります。
おすすめするダンパーは「Cartridge Reader」です。
筆者が所持しているものは旧型ですが、非常に幅広いゲーム機のカセットに対応しています。
【Cartridge Readerで吸い出せるレトロゲーム】
・ゲームボーイ、ゲームボーイカラー
・ゲームボーイアドバンス
・ニンテンドウ64
・スーパーファミコン ※特殊チップカートリッジは別売りアダプタが必要
・メガドライブ
【別売りのアダプタで対応】
・ファミコン
・PCエンジン
・セガ・マスターシステム
・ネオジオポケット
・ワンダースワン
吸い出したROMデータはゲーム用MicroSDカードのROMSフォルダの中にある対象のゲーム機の略称のフォルダに保存することで、RG35XXが読み込んでくれます。
例:ゲームボーイ(GB)、ゲームボーイアドバンス(GBA)、スーパーファミコン(SFC)
7. まとめ
今回はAnbernic RG35XXをレビューしました。
Anbernic RG35XXは、Miyoo Miniに対抗して販売された中華ゲーム機です。
Miyooもまたそれに対抗し、「Miyoo Mini Plus」を販売しています。
Miyoo Mini Plusは、Anbernic RG35XXよりも少し小さく、Miyoo Miniと同じ性能の中華ゲーム機です。
これまで、Anbernic RG35XXはMiyoo Miniと比較されて来ましたが、今後はMiyoo Mini Plusと比較されることになります。
どちらも「小型でプレイステーション程度のゲームまで遊べる」のが魅力のゲーム機ですが、入手性は圧倒的にAnbernic RG35XXが勝ります。
入手性の高さから来るユーザー数の多さ、手軽な価格から、筆者はMiyoo Mini PlusよりもAnbernic RG35XXの方が盛り上がるのではないかと考えています。
【Anbernic RG35XX(日本公式サイト)】
https://jp.anbernic.com/products/rg35xx