Anbernic RG503レビュー

公開日: 2022/11/24 更新日: 2022/11/18
Anbernicのポータブルゲーム機「RG503」を入手しました。

RG503はエミュレーターで遊ぶことを前提としたゲーム機です。

CPUは全シリーズのRG351シリーズからパワーアップし、ディスプレイにはPS Vita-1000互換の4.95インチ有機ELディスプレイを採用しています。

1. Anbernic RG503の販売ストア


https://jp.anbernic.com/


Anbernic RG503は海外ECサイトやAnbernicの公式サイトで購入できます。

ECサイトは「Aliexpress」「Banggood」などが主に取り扱っています。


筆者は「Anbernic Japan公式サイト」での購入をおすすめします。

Anbernic公式サイトでは違法なゲームROMを含む「おまけデータ」が付属しないため、クリーンな状態のRG503を受け取ることができます。


「Anbernic Japan公式ストア」

https://jp.anbernic.com/

2. Anbernic RG503のスペック


https://jp.anbernic.com/


Anbernic RG503の基本スペックは以下のとおりです。


・システム(OS):Open Source Linux System ※公式OS、JELOS、ArkOSなど
・ディスプレイ:4.95インチ有機ELディスプレイ。16:9
・画面解像度:960 × 544
・CPU:RockChip RK3566 1.8GHz
・GPU:Mail-G52 2EE
・RAM:1GB LPDDR4
・ストレージ:microSDカード ※最大512GB
・バッテリー容量:3,500mAh
・ワイヤレス通信:Wi-Fi 2.4GHz / 5GHz、Bluetooth4.2(コントローラのみ)
・インターフェイス:USB Type-C × 2、microSDカードスロット × 2、3.5mmイヤホンジャック、mini HDMI
・その他:ステレオスピーカー、振動モーター

メタル筐体のように反射して見えますが、RG503の本体に使用されている素材はプラスチックです。

3. Anbernic RG503の大きさ・重さ


Anbernic RG503の大きさと重さを画面仕様が近いPS Vita-1000と比較してみます。

Anbernic RG503の大きさはおおよそ「187×85×20mm」です。

サイズ感としてはPS Vita-1000と同じか、少し大きい感じです。


Anbernic RG503の重さは実測値で243gでした。


PS Vita-1000の重さは281gです。

Anbernic RG503はPS Vita-1000よりも40g以上も軽いという結果になりました。


重さの通り、Anbernic RG503はPS Vita-1000よりも持ち心地はかなりチープに感じます。

携帯ゲーム機は軽い方が望ましいですが、軽すぎると安っぽさを感じてしまうのは悩ましいですね。

4. とてもキレイな画面


Anbernic RG503はPS Vita-1000互換の4,95インチ有機ELディスプレイ(960 × 544)を搭載しています。

PS Vita-1000互換ではあるものの、タッチスクリーン機能は搭載されていません。

そのため、画面をタッチしてNintendo DSなどのゲームを遊ぶことはできません。


Anbernic RG503の有機ELディスプレイはコントラストが強く、彩度が高く描画されるのを特徴としています。

黒や赤などの色をくっきりはっきりと描画してくれます。

PSPやドリームキャスト、Nintendo64などのゲームが非常に美しく表示されます。


しかし、その反面で色が濃すぎて目に優しくないと感じる人もいるかも知れません。

特にファミコンやゲームボーイカラーなどの古いゲームでは違和感を覚える人も多いでしょう。

5. ボタン・操作感


Anbernic RG503のボタンや操作感についての感想は「少し問題あり」と評価せざるを得ません。


左右アナログスティック、十字キーの操作感に関しては良好です。

また、本体背面には滑り止め加工がされている点も評価できます。


しかし、ABXYボタンの押し心地やファンクションボタンの位置は悪いと言うしかありません。

Bボタンを押しながらAボタンをスライドしながら押そうとすると、ボタンが引っかかってしまい操作が上手く行かないことが多々あります。

マリオやカービィなどのアクションゲームをプレイする人にとっては致命的な欠点となるでしょう。


また、ファンクションキーの位置がリセットボタンの真隣となっておりファンクションキーを押そうとしてリセットしてしまうなどの問題も発生しやすい配置となっている点もマイナスです。

ファンクションキーは各種CFW(カスタムファームウェア)で無効化できます。

6. システム(OS)


Anbernic RG503はLinuxベースのOSを使用しています。

そのため、CFW(カスタムファームウェア)の開発が活発化しています。

現在おすすめのCFWは「JELOS」と「ArkOS」です。

どちらも頻繁にアップデートが行われており、公式FWよりもゲームの動作が改善しています。

RG503のCFWであるJELOS、ArkOS共に詳しくは開発者さんのgithubをご確認ください。


「JELOS」
https://github.com/JustEnoughLinuxOS/distribution-dev/releases


「ArkOS」
https://github.com/christianhaitian/arkos/wiki

7. エミュレーター性能


Anbernic RG503のエミュレーター性能は過去のRG351シリーズより上がっています。

RG351シリーズではプレイが難しかったNintendo64、ドリームキャスト、PSPなどが比較的安定してプレイできるようになっています。

Anbernic RG503でプレイできる主なゲーム(エミュレーター)は以下の通りです。

※有名なゲーム機のみ抜粋

・ファミリーコンピュータ(FC)

・スーパーファミコン(SFC)

・Nintendo 64(N64)※不安定なゲームあり

・メガドライブ(MD)

・ドリームキャスト(DC)※不安定なゲームあり

・ゲームギア(GG)

・ゲームボーイ(GB)

・ゲームボーイカラー(GBC)

・ゲームボーイアドバンス(GBA)

・ニンテンドーDS(NDS)

・Playstation(PS、PSX)

・Playstation Portable(PSP)※不安定なゲームあり

・PCエンジン(PCE)


Anbernic RG503に標準搭載されているOSは完成度が低くゲームの動作が非常に不安定です。

ゲームの動作が改善されているCFWを導入しましょう。

エミュレーターで遊ぶにはゲームデータや場合によってはBIOSなどを吸い出す必要があります。

ゲームデータの吸い出しは「Cartridge Reader」や「Retro Base Dumper」で行えます。


Cartridge Readerではゲームボーイ、ゲームボーイアドバンス、メガドライブ、スーパーファミコン、Nintendo 64の吸い出しを一台で行えます。


「Cartridge Reader」
https://www.kadenken.com/view/item/000000001387

PS1のゲームの吸い出しにはPCなどのDVDを読み込める機器、 PSPの吸い出しにはPSP実機が必要です。

8. 動作が厳しかったゲーム


この手のレビューでは本来は快適に動作するゲームを紹介しますが、今回はあえて筆者の手持ちのゲームで動作が厳しい・おかしかったゲームを紹介します。

下記のゲームをプレイしたいと考えている人はRG503を避けるかCFWが修正してくれるのを待つことをおすすめします。


「マリオテニス64」(N64)


RG503はマリオテニス64をプレイするのに十分なスペックを有しているはずです。

しかし、描画はバグだらけで動作も非常に重くまともにプレイができませんでした。

PSPのゲームも含めてすら最悪の再現性と言っても過言ではない状態です。

スペックは足りているはずなのでCFWのアップデートで改善される可能性があります。


「Grand Theft Auto Liberty City Stories」(PSP)


GTA LCSの舞台であるリバティーシティは建物が密集していることもあり、非常に重たいゲームです。

後に発売されたGTA VCSの舞台は田舎のバイスシティであるため、それなりに快適にプレイが可能でした。


「メタルギアソリッドピースウォーカー」(PSP)


メタルギアソリッド ピースウォーカーは80%程度の速度で動作します。

しかし、ゲーム内の字幕がおかしくなる問題を抱えています。

字幕を気にせずにプレイできるのであれば問題ないレベルかもしれません。

9. まとめ


Anbernic RG503は人気のRG351シリーズから性能が上昇し、更に有機ELディスプレイを搭載した新しい携帯ゲーム機です。

大きく美しい画面でレトロゲームを遊べる体験は他の中華ゲーム機では味わえません。


エミュレーター専用機としての性能は十分で、PSPまでのゲームを快適にプレイすることができます。

しかし、Nintendo 64やPSPでは動作が安定しないゲームも多くあります。


またボタンに少々問題を抱えており、BからAへスライドしながら押し込むとボタンが引っかかってしまいます。

公式FWの出来も悪く、CFW(カスタムファームウェア)の導入が必須となっています。


そのため、RG503は初心者向けではなく、これまでに中華ゲーム機を触ったことがある人向けのゲーム機であると感じました。


初めて中華ゲーム機を購入する場合は「RG351MP」や「Miyoo Mini」「RG280V」などをおすすめします。


2022年後期以降はWindowsを搭載したハイスペックなゲーム機が登場予定です。

よりハイスペックなゲーム機が欲しい人はそれらの販売を待つほうが良いかもしれません。